砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
※
私室でカインとふたりきりになるとアベルは歯ぎしりを来ながら思い切り机を拳で叩いた。
「結局、俺はいつでも兄の尻拭いか。こんな人生、あんまりじゃないか。どこまでいっても所詮は人々の期待を一身に受ける兄の影」
本当は兄より優れた容姿も才能も。兄には気づかれないよう全てを凡愚に見せ、王になる兄を陰から支える。それがアベル自身の保身にもなると信じてきた。
王位争いは国を不安定にし、弱体させる要因になる。それは決して望まない。
だからこそ、愚王子という不当な評価も甘んじて受け入れてきたというのに。
「想定の範囲内ですよ。
王妃の代理でサラに子供を産ませるなどと、神をも恐れぬお申し出にはさすがに驚きましたが。
まるでいつか森で見た、托卵させる春告鳥のようですね」
初めてカインの秘密がアベルに露見した日。森の中で自分より大きくなった雛鳥に懸命に餌をやる親鳥の姿を見たことを思い出す。
「あぁ、そういや見たことあったな。春告鳥か。言い得て妙だな。
かわいそうに自分の子供は殺されているのに一生懸命餌を与えて他人の子を育てていたな。
もしやジョセフィンが産んだばかり王子も、あえて助けないつもりか?
国王とはいいご身分だ。結局好きな女に子供を産ませて、その子に王位を継がせたい一心なんだろ。オルディン家にとっても都合のいいことだな」
アベルはそう吐き捨てるように言って、ギロリ、とカインを睨みつけた。
私室でカインとふたりきりになるとアベルは歯ぎしりを来ながら思い切り机を拳で叩いた。
「結局、俺はいつでも兄の尻拭いか。こんな人生、あんまりじゃないか。どこまでいっても所詮は人々の期待を一身に受ける兄の影」
本当は兄より優れた容姿も才能も。兄には気づかれないよう全てを凡愚に見せ、王になる兄を陰から支える。それがアベル自身の保身にもなると信じてきた。
王位争いは国を不安定にし、弱体させる要因になる。それは決して望まない。
だからこそ、愚王子という不当な評価も甘んじて受け入れてきたというのに。
「想定の範囲内ですよ。
王妃の代理でサラに子供を産ませるなどと、神をも恐れぬお申し出にはさすがに驚きましたが。
まるでいつか森で見た、托卵させる春告鳥のようですね」
初めてカインの秘密がアベルに露見した日。森の中で自分より大きくなった雛鳥に懸命に餌をやる親鳥の姿を見たことを思い出す。
「あぁ、そういや見たことあったな。春告鳥か。言い得て妙だな。
かわいそうに自分の子供は殺されているのに一生懸命餌を与えて他人の子を育てていたな。
もしやジョセフィンが産んだばかり王子も、あえて助けないつもりか?
国王とはいいご身分だ。結局好きな女に子供を産ませて、その子に王位を継がせたい一心なんだろ。オルディン家にとっても都合のいいことだな」
アベルはそう吐き捨てるように言って、ギロリ、とカインを睨みつけた。