砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「あっさりと受け入れたのは事前に知っていたのか、カイン」
「まさか。
ですが、アベルの政略結婚の話は上がると思っていました。
ブリュオー王国だとは想定外でしたが。あの国には年頃の王女はおりませんでしたから」
激情するアベルと対称的に普段通りに落ち着き払ったカイン。
「せいぜい国内の僻地かと思いきや、まさかブリュオー王国にしかも一人で行けとは。
お前から離されるだなんて思いもしていなかった。
くそぅ、いっそ、兄上から王位奪還してやろうか」
王になるべくして育てられた兄の努力を一番近くで見てきた。そんな兄から自分が王位を奪うなどと今まで一度も考えたことはなかった。
だが。
湧き上がる衝動に駆られてアベルは生まれて初めて王位奪還を口にした。
「無謀なことをおっしゃって。現状でアベルにつく貴族はオルディン家だけですよ?
アベルの最大の武器は私だと思われているのです。光栄なことですが。
私さえ取り上げてしまえばアベルは傀儡も同然と思っている。それは本当のアベルのことをわかっていないということ。
このまま大人しくしていたほうがいいでしょうね」
「だから、そうじゃない!」
冷静に状況を判断し、普段と変わらない様子のカインの肩をぐっと掴んで、アベルはカインの耳元に唇を寄せた。
「お前を一人残して行けない。
俺がいなければ……一人では戦えないだろう?」
「私のことなら、心配いりません。
我が身は砂上の城。十分に心得ています。……アルスが成長するまで今しばらく時間は欲しかったですが、上手くやります」
「まさか。
ですが、アベルの政略結婚の話は上がると思っていました。
ブリュオー王国だとは想定外でしたが。あの国には年頃の王女はおりませんでしたから」
激情するアベルと対称的に普段通りに落ち着き払ったカイン。
「せいぜい国内の僻地かと思いきや、まさかブリュオー王国にしかも一人で行けとは。
お前から離されるだなんて思いもしていなかった。
くそぅ、いっそ、兄上から王位奪還してやろうか」
王になるべくして育てられた兄の努力を一番近くで見てきた。そんな兄から自分が王位を奪うなどと今まで一度も考えたことはなかった。
だが。
湧き上がる衝動に駆られてアベルは生まれて初めて王位奪還を口にした。
「無謀なことをおっしゃって。現状でアベルにつく貴族はオルディン家だけですよ?
アベルの最大の武器は私だと思われているのです。光栄なことですが。
私さえ取り上げてしまえばアベルは傀儡も同然と思っている。それは本当のアベルのことをわかっていないということ。
このまま大人しくしていたほうがいいでしょうね」
「だから、そうじゃない!」
冷静に状況を判断し、普段と変わらない様子のカインの肩をぐっと掴んで、アベルはカインの耳元に唇を寄せた。
「お前を一人残して行けない。
俺がいなければ……一人では戦えないだろう?」
「私のことなら、心配いりません。
我が身は砂上の城。十分に心得ています。……アルスが成長するまで今しばらく時間は欲しかったですが、上手くやります」