砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
明るい白地にわずかな青みを含んだような色。アベルのものと似ているがこちらは月を連想させるような色。そこに銀色の飾りのついた正装は、アベルと色違いで同じデザインだった。

「着てみろよ」

アベルはニヤリと笑う。だが、カインは困りきった様子。

「これ、男女がきたらまるでデュスですよ?」

恋人同士や夫婦が互いの関係を公の場で披露するため、揃いの衣装を着る『デュス』。
いまだかつてアベルは『デュス』を身に着けて舞踏会に出たことはない。

「色は違うぞ。男物だし。
最後くらいこんな遊び心があってもいいだろう?着ろ」

命令にも似た強い口調に、カインは仕方なく袖を通す。

「これでは目立ちすぎます…」
「よく似合っているじゃないか。お前の髪色と瞳にはやっぱりこの色で正解だな」

確かに、髪色、瞳の色、肌の色と合っているとは思う。でも、目立つ。

「さ、行こう。景気いい顔しろよ。これが最後だ」

< 142 / 246 >

この作品をシェア

pagetop