砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「カイン、顔色が優れないな。少し、休むか?」
群がる女性たちをかき分け、アベルがカインのもとへとやってきた。
「いえ、大丈夫です」
「お前は体が弱いのだから、無理をしてはいけない。
今夜はもう帰っていいぞ。明日は様子を見て欠席して構わない。ゆっくり休め」
具合など悪くはなかった。だが、これはアベルがお目付け役のカインを遠ざけたいときに昔からよく使う手だ。
あとわずかでブリュオー行き。カインに気兼ねなく別れを惜しみたい女性もいるのかもしれない。
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて失礼いたします」
「あぁ。体を大切にな」
アベルはまた女性たちに囲まれていく。
その時、女性の甘えた声がカインの耳にも届いた。
「アルベルト殿下…淋しいわ。もう私、この先どうやって生きていけばいいの…」
「本当に。殿下がいなくなるなんて悲しすぎます」
ーーその通りだ。アベルを失ってこの先、どうやって生きていけばいいんだ。
カインはくるりと踵を返し、会場を後にした。
群がる女性たちをかき分け、アベルがカインのもとへとやってきた。
「いえ、大丈夫です」
「お前は体が弱いのだから、無理をしてはいけない。
今夜はもう帰っていいぞ。明日は様子を見て欠席して構わない。ゆっくり休め」
具合など悪くはなかった。だが、これはアベルがお目付け役のカインを遠ざけたいときに昔からよく使う手だ。
あとわずかでブリュオー行き。カインに気兼ねなく別れを惜しみたい女性もいるのかもしれない。
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて失礼いたします」
「あぁ。体を大切にな」
アベルはまた女性たちに囲まれていく。
その時、女性の甘えた声がカインの耳にも届いた。
「アルベルト殿下…淋しいわ。もう私、この先どうやって生きていけばいいの…」
「本当に。殿下がいなくなるなんて悲しすぎます」
ーーその通りだ。アベルを失ってこの先、どうやって生きていけばいいんだ。
カインはくるりと踵を返し、会場を後にした。