砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命

翌日。

体調優れず、舞踏会は欠席すると知らせを出し、カインはベッドに潜り込んだ。

「カイン、だいじょうぶ?」

具合が悪いと聞いてやってきたのはアルスだった。

「あぁ、心配要らない。アルスはいつもどおり勉強しなさい。今日は座学だろう」
「いや。カインのそばにいる。おべんきょうしない!」

カインの枕元でいやいやをするアルス。
その顔は幼い頃のやんちゃなアベルにそっくりだ。


「ね、カイン、このおっきなはこ、なぁに?」
「なんでもない。すぐに処分するから触ってはいけないよ」

アルスは箱の周りをぐるぐると回り、興味深々だ。好奇心の塊なところも幼い頃のアベルを思い出す。

「カインはさ、アベルのこときらいなの?」
「いきなりなぜそんなことを聞く?」
「だって、これアベルからのプレゼントでしょ?」

箱のどこにもアベルからだとわかるものはない。カインは眉をひそめてアルスに問う。

「なぜそう思う」
「このはこをつつんでたひも、このむすびかた。いつもアベルがぼくのくつひもをむすんでくれるのとおんなじやりかた。アベルがむすぶとかたくてほどけにくいの。
カインも、ほどけなくてひもをきったんでしょ?
プレゼントしょぶんするなんて。アベルのことキライなの?そんなことないよね?」

我が子ながらその洞察力の深さに思わず閉口した。


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