砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
知り合ってどれだけの年月が流れただろう。お互いのことで知らないことなど何もない。いつも誰よりも近くで一緒に時を重ねてきたはずだった。

だが、今目の前に立つ彼女は二人で築いてきた全てを覆してしまいそうなほどの衝撃をもたらした。

儚げながら、繊細な美しさ。触れたら壊れてしまいそうだ。だが、オルディンブルーの瞳はいつものように芯の強さを感じさせる。
アベルがこれまでに出会ったどの女性よりも女性らしく、神々しいまでに美しい。
彼が探し求め続けていた女性が、ここにいた。

アベルはそっと彼女に手を差し出す。
彼女も手を重ねる。絡まった指先は冷たく、わずかに震えていた。

流れる音楽にあわせ、二人はフロアの中央へと出ていく。

二人が踊りだすと、誰も側に寄れないような緊張感が生まれた。招待客らは二人から離れたところで、口を開くものはいない。ただ、息をのんで二人を見つめるしかなかった。


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