砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
おそるおそる見上げると、アベルはやんちゃな笑顔を浮かべている。子供の頃、いたずらを思いついたときに浮かべていた懐かしい笑顔だ。

「諸君!この方が誰なのか、気になっているだろう!」

おもむろにアベルが叫んだ。カインは一瞬で青ざめる。
アベルが秘密を暴露するはずがないと思っていた。
だが、もしかしたら、秘密をすべてぶちまけてスッキリして旅立つつもりなのか。

ーーアベル…まさか?

アベルはそんなカインの肩をぎゅっと抱き寄せ、チュッと音がするくらいカインの頬に口づけをした。

「俺がずっと思いを寄せていた俺の女神なんだ」

ポカンとする客たちを笑い飛ばし、アベルはカインをバルコニーへと連れ出した。
二人きりになってもアベルは笑い転げている。

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