砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
ラインハルトに問いかけられた側近は、少し困ったように答えた。

「とりあえずは、石塔のほうにお部屋を用意しました」
「わが息子になる人物だぞ、それは失礼だろう」
「ですが……フォトキナの王子に我が国の情報を集められたりしたら…」
「大丈夫だ、我が国の言葉もまだ使いこなせていないようだし、そこまで慎重になる必要はないだろう。
それより、逆にフォトキナの情報を仕入れられるのではないか?」

ラインハルトと側近が早口で会話をしている様子を、アベルはぼんやりと聞いていた。

実は会話のすべてを理解している。ここへ来る前にブリュオー語はマスターしてきていた。

ーー何の害もない、愚王子。そう思わせておくのです。
それが、単身で異国に乗り込むアベルが自己防衛に使える一番の武器ですから。
今までと同じですよ、得意ですよね。

というカインの助言で、言葉が不自由なふりをしている。
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