砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
いつも城の奥に隠れて表に出てこない正妃ジョセフィン。驚いたことに人を観察する能力に長けていたようだ。
そのことに気づいていればもっと活躍の場を見つけてやれただろう。悔やまれる。

アベルは正妃とはあまり接点を持たなかった。
兄はアベルに対してとにかく疑い深い。
アベルと正妃に接点があれば、彼女が懐妊した時にアベルの子供かもしれない、などと言い出しかねなかった。


「君とは友好的な関係でいたいと思っている。友人になれればいいと。
どうか、協力してくれないか」

「協力?」

「あぁ。この国は血気盛んで腕に覚えのある者がたくさんいる。だが、体を鍛えることに長けていても頭を使った頭脳戦はちょっと苦手なものが多くてな。
だから、他国のスパイや逆臣といった者を見破るのに協力してほしい」

「なぜ、俺が……」

それは思いもかけない提案だった。

「愚王子を装っているが。あのボタンをさりげなく避けた隙のない動きは偶然などで出来ることじゃない。
それに」

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