砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命

「アルスは何を望む?王位継承権は欲しいか?君にはその権利がある。俺の持っているものの全てを継承する権利がある。
君が望むものはすべて与えるよ」

父という言葉は使わずに、それでもはっきりと認めた。
アルスはどんな反応をするのだろう。自分と血の繋がりがあることを喜ぶのかそれとも嘆くのか。
不安と期待を持ってアベルはアルスの様子を見守った。

「僕はオルディン公爵として生きていくことに誇りを持っています。先代が人生をかけて守ってくれたのですから。
僕の望みはただ真実が知りたかった、それだけなのです。それ以外の望みはありません」

アルスは涙を手の甲でぐいっとぬぐう。涙は止まったがその表情はまた最初の大人びたものに戻り、感情が読み取れない。

「真実を知ってどうだ?」

「正直、うれしいです。
でも、僕はこれから結婚が控えるアベルにとっては邪魔な存在ですから、もちろん口外しません。僕も秘密はお墓まで持っていきます」

アベルの立場を理解し、父と知っても甘えることもない。
物分かりの良さは流石だ。

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