砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
森の中を歩いていると、粗末な小屋を見つけた。小屋の作りや大きな煙突を見るに普段は炭焼き小屋として使用している小屋のようだ。
小屋の周りには包帯を巻いた住民やアベルの連れてきた救護隊の姿も見える。
どうやらあの辺りに住民が避難してるようだ。
「隊長!」
救護隊員がアベルを見つける。人前で弱い自分をさらすわけにはいかない。アベルは弱った心をぐっと押し込んで、顔に力をいれる。
「お疲れさん。状況はどうだ?」
「幸い、住民のほとんどが軽傷です。重傷者が数名おりましたが、フォトキナの医師がすでに治療にあたっていて一命をとりとめております。いやぁ、フォトキナの医学は進んでいますね」
「そうか。他に必要なものはないか?」
「住民はブリュオー語がわからないのですが、医師のかたが通訳してくれ、的確な指示も出してくださるので大丈夫です。
こちらはお任せください」
「そうか、頼んだぞ」
師レオポルトが手を回してくれたのだろうか、ずいぶんと腕のいい医師がきてくれたようだ。