砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「……!」
その人物はアベルの顔を見るなり、紫色に染まった指先でとっさにローブのフードをさらに深く下ろす。
だが、その手をアベルは掴んだ。
オルディンブルーの瞳がアベルを捉えた。
「生きて……生きているじゃないか、カイ…!」
カインと叫びそうになったアベルの口を紫色の指先が塞ぐ。
その素早い動きにローブのフードが払われ、無造作に束ねた銀色の髪もあらわになった。
「カルヴィン・オルディンは死にました。
私は名も無いただのフォトキナの住人です」
アベルの耳元で囁いたその声は間違いなくカインのものだった。
カインは持っていた袋から薬草を取り出すとアベルの拳にこすりつけた。薬草から紫色の汁が出る。どうやらカインの指先は薬草のせいで紫色に染まっているようだ。
「そうか、住人が先生と言っていたのはお前のことだな。
幼いアルスに先代は死んだと嘘をつかせて、公爵としての重責を負わせて。ひどすぎやしないか」
「これしか方法がなかったんです。病弱で動けないオルディン公爵にはフォトキナを救えない」
その人物はアベルの顔を見るなり、紫色に染まった指先でとっさにローブのフードをさらに深く下ろす。
だが、その手をアベルは掴んだ。
オルディンブルーの瞳がアベルを捉えた。
「生きて……生きているじゃないか、カイ…!」
カインと叫びそうになったアベルの口を紫色の指先が塞ぐ。
その素早い動きにローブのフードが払われ、無造作に束ねた銀色の髪もあらわになった。
「カルヴィン・オルディンは死にました。
私は名も無いただのフォトキナの住人です」
アベルの耳元で囁いたその声は間違いなくカインのものだった。
カインは持っていた袋から薬草を取り出すとアベルの拳にこすりつけた。薬草から紫色の汁が出る。どうやらカインの指先は薬草のせいで紫色に染まっているようだ。
「そうか、住人が先生と言っていたのはお前のことだな。
幼いアルスに先代は死んだと嘘をつかせて、公爵としての重責を負わせて。ひどすぎやしないか」
「これしか方法がなかったんです。病弱で動けないオルディン公爵にはフォトキナを救えない」