砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
カインは窓辺にもたれ腕を組み、冷めた目で会場を見わたした。


ーー舞踏会とは、こんなものか。話には聞いていたが、やはり、つまらない。男も女も恋愛ゲームを楽しむ相手を探してご苦労なことだ。


アベルといえばサラを皮切りに次々と女性を変え踊りに興じていた。アベルが居るだけで女性達は大騒ぎだ。

よくもまぁ体力と笑顔が続くものだと感心する。


「…カイン、こんな隅で何をしてるんだ?」

息を弾ませ、額に汗をにじませてアベルがカインに声をかけたのは、舞踏会もクライマックスにさしかかろう、という時だった。

「何も。あぁ、飲み物は頂いてますが」
「それじゃつまらないだろう。舞踏会は踊るためにあるんだ。……丁度いい、サラ!」

アベルは、カインの腕を引っ張るとそばを通りかかった姉のサラと組ませた。

「私は踊りませんよ、アベル」
「顔を売るチャンスだ。姉が相手なら多少のヘマも許されるだろう」

カインはアベルを睨みつけるように見た。だが、アベルは余裕の笑みでカインの抵抗をかわすと二人をフロアの中央へといざなった。


「…まぁ、カルヴィン・オルディンよ!」
「ずいぶん小柄だな。無理もないか、アルベルト王子より歳下のはずだ」
「あらあら、お子様なのね。踊れるの?」
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