砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「聞いてくれ。決めたんだ。
俺は、フォトキナの王になる。
今の兄上にこの国を任せてはおけない。お前が死をもってなお、命をかけて守るこの国を俺が平和に導く。
ブリュオーのラインハルト陛下が俺の後ろ盾になってくださる。
できれば血を流さず兄上には退位していただけるよう、師レオポルトにも協力を仰ぐ」

まっすぐにこちらを見つめるアベルの瞳に強い意志を感じた。

アベルがブリュオーへ行った三年前とは違い、ディアルド国王への国民の信頼が薄くなった今は確かにチャンスだと思う。
アベルならきっとフォトキナを以前にも増して強い国にできる。

ーー昔のようにアベルの側近として公私共に支えたい。

カインにも強い思いが湧く。
だけど。
死をもって己を殺したカインには居場所がない。
カインのいた場所はこれからはアルスとアイリーン王女の場所となる。
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