砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
そんなアベルの葛藤に応えたのがカインだった。
カインもまた、己を殺し、感情を殺し、全てを諦め受け入れている。
カインはオルディン家の名を背負いただ生きること、それだけを求められていた。
二人は互いの心に潜むよく似た葛藤を感じとり、いつしか唯一の救いとなる存在になっている。
だからこそ今は手を離すべきではない。いや、離したくなかった。
「私も共に参りましょうか?」
カインは馬に乗りかけたアベルの背中に声をかけた。するとアベルはハッと我に返っていつもの輝くような笑みをたたえて振り向いた。
「そうしてくれるか?助かるよ」
一人で兄と対峙したくなかったアベルにとって、カインの申し出は最高の救いだった。
「かしこまりました。
あぁ、伝令の君、すまないがその足でミヤニング家に行ってくれ。途中でソニアの花束を買い、それをマリー嬢へ渡しながら、アルベルト王子から、と次の伝言を。
『ソニアの花言葉は“ひとときの恋”。これからの二人に至福のひとときが訪れるでしょう』と」
カインが任務を遂行して帰ろうとしていた伝令係を捕まえて言うと、アベルはヒュッと口笛を吹いた。
「さすがカイン。俺が言いそうなこと、よくわかっているよなぁ。
君、そのように頼むよ」
アベルが花代以上のチップを渡すと、伝令係は喜び勇んで出て行った。
「じゃ、俺たちも行こうか、カイン」
ひらりとアベルが馬にまたがり馬の腹を蹴って走り出す。カインもそれに続いた。
カインもまた、己を殺し、感情を殺し、全てを諦め受け入れている。
カインはオルディン家の名を背負いただ生きること、それだけを求められていた。
二人は互いの心に潜むよく似た葛藤を感じとり、いつしか唯一の救いとなる存在になっている。
だからこそ今は手を離すべきではない。いや、離したくなかった。
「私も共に参りましょうか?」
カインは馬に乗りかけたアベルの背中に声をかけた。するとアベルはハッと我に返っていつもの輝くような笑みをたたえて振り向いた。
「そうしてくれるか?助かるよ」
一人で兄と対峙したくなかったアベルにとって、カインの申し出は最高の救いだった。
「かしこまりました。
あぁ、伝令の君、すまないがその足でミヤニング家に行ってくれ。途中でソニアの花束を買い、それをマリー嬢へ渡しながら、アルベルト王子から、と次の伝言を。
『ソニアの花言葉は“ひとときの恋”。これからの二人に至福のひとときが訪れるでしょう』と」
カインが任務を遂行して帰ろうとしていた伝令係を捕まえて言うと、アベルはヒュッと口笛を吹いた。
「さすがカイン。俺が言いそうなこと、よくわかっているよなぁ。
君、そのように頼むよ」
アベルが花代以上のチップを渡すと、伝令係は喜び勇んで出て行った。
「じゃ、俺たちも行こうか、カイン」
ひらりとアベルが馬にまたがり馬の腹を蹴って走り出す。カインもそれに続いた。