砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
実は周囲を悩ませているアベルのイタズラには計算があることに、レオポルトは気づいていた。

壁の肖像画に落書きをしたのは、最近城下で仕事が減りつつあった画家に仕事を与えるため。

城の至る所に秘密基地を作っては家庭教師をまいて逃げ隠れたのは、一人でも多くの有識者の能力を見極めるため。


愚王子などと揶揄されているが、実は誰より王国のことを考えて行動しているアベル。
恐らくそのことに気づいているのはレオポルトだけだろう。それほどにアベルは巧妙に己を凡愚にみせる能力に長けている。

だが、暗躍しても報われぬ人生、いずれ心が擦り切れてしまうかもしれない。このままアベル一人で耐えきれるとは思えなかった。
アベルを本当に理解して、共に戦える友ができたなら。

レオポルトがそう考えていたときに見つけたのが、オルディン公爵家長男のカルヴィンだった。

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