砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
だから、いつもならすぐに気づく異変に気づかなかった。
随分と森の奥へと入り込んだ頃。


「あれ?なんだか、雲行きが怪しいぞ?」
「え?」

アベルに言われて空を見上げると、遠くにあった入道雲がいつのまにか随分と迫ってきている。
しかも、風が変わってきた。

「いけない、アベル戻りましょう。雨が来ます」

カインが言ったそばから、ポタリと大粒の雨が頬に当たる。

「マズイな、屋敷に戻るよりいつもの古城の方が近い。あそこで雨宿りしよう」
「はい」

アベルとカインは手綱をさばいた。一気に降り出した雨の中を、森の奥の古い城へと馬を走らせる。


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