砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「アルベルト王子。今日は相談がありますの。
ご存じのようにわたくしは不器用で社交的なことは不得手です。
そこで社交界へ積極的に出席したり、サロンを主宰できるような役割を担ってもらう為に、陛下に愛妾を迎えることを提案しようと思っているのです」

正妃ジョセフィンから愛妾の提案がされた。
フォトキナ王国は一夫一妻制の国だ。正妃以外の妃は認められない。
例外として国王は政略結婚としての正妃のほかに、由緒正しい貴族から選ばれた「公認の愛妾」という者を持つことが出来る。
ただし愛妾は正妃からの推薦のもとで迎えるのが通例だった。

「なぜ私に相談を?正妃様がそうおっしゃるならよろしいのでは?」

面倒はごめんだ、と心の中でぼやきながらも、冷静を装ってアベルは相槌をうつ。
堅物な兄が愛妾を迎えたいと言い出すとは思っていなかった。ジョセフィンの心中はいかがなものだろう。愛のない政略結婚とはいえ決して面白くはないと思うのだが。
いつもと変わらない様子のジョセフィンの表情を見る限りでは真意を測りかねた。
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