砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「わたくしはサラ様が陛下のもとにいらしてくれたらうれしいと思っています。サラ様は社交的で華があるもの。
でもカルヴィン様からみればあんなに素敵なお姉さまを愛妾に推薦したいと言ったら複雑ですね」

もし、サラが愛妾になったら。サラが国王の子を産むことにでもなったら。

フォトキナではいくら国王の血を継いでいても、愛妾の子には王位継承権は無い。
かといって王の子を無下に扱うこともできず、これまでの例だと愛妾の産んだ男子には公爵などの貴族の位が与えられる。

つまり、オルディン公爵家を継いでもらうには最高の条件だった。

父ニックスが生きていたら、諸手を挙げて喜んだだろう。
だが、今はカインの時代だ。
罪を背負う身としては、慎重にならざるを得ない。

「私は姉の意思を尊重します」

公爵家の娘であるサラが王妃と国王からの申し出を断れるはずもない。分かっていながらそう答えるのが精いっぱいだった。

「オルディン公爵、姉上によろしく伝えてくれたまえ。アベル、お前もそろそろ身を固めることを考えろ」

食事を終えるとそう言い残し、ディアルドはジョセフィンと共に席を後にした。

アベルもカインを伴い、自室へと戻った。
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