砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
『好きな女』と言いながら欲情を帯びた熱い視線を向けられ、カインはドキリとする。
愛を告げられたような錯覚に戸惑いながらも、同時にそれは自分のことではないと言い聞かせた。
「なぁカイン、あの、国境近くの深い森の奥の古城で静かに穏やかに暮らさないか?
王族も公爵家も関係のない世界で。畑を耕して、自給自足の生活をしたいなぁ」
強い酒の入ったグラスを一気にあおいで、アベルは天井を見上げる。
彼の目には、自分たちが一般庶民の暮らしをしている姿が見えるのだろうか。
「アベルなら、陛下にお世継ぎが誕生すれば好きな女性と一緒に暮らすことまでは叶えることが出来るかもしれないですね。
でも自給自足の生活は不可能でしょう。贅沢な暮らししかしたことのないのですから。
ここで為すべきことをするしか、出来ないのです」
「相変わらず、夢のない奴だな、カイン」
「夢なんて所詮叶わない。それならば見ない方がいい。現実が辛くなるだけです」
何もせず、ただ生きて次に繋げる。それだけを託され、希望も夢も感情さえも抑えつけて生きているカイン。
兄の陰で目立つことなく、常に兄をたてて、無能を演じ続けるアベル。
「俺は自分が本当に望むことを、夢に描くことさえ出来ないのか」
愛を告げられたような錯覚に戸惑いながらも、同時にそれは自分のことではないと言い聞かせた。
「なぁカイン、あの、国境近くの深い森の奥の古城で静かに穏やかに暮らさないか?
王族も公爵家も関係のない世界で。畑を耕して、自給自足の生活をしたいなぁ」
強い酒の入ったグラスを一気にあおいで、アベルは天井を見上げる。
彼の目には、自分たちが一般庶民の暮らしをしている姿が見えるのだろうか。
「アベルなら、陛下にお世継ぎが誕生すれば好きな女性と一緒に暮らすことまでは叶えることが出来るかもしれないですね。
でも自給自足の生活は不可能でしょう。贅沢な暮らししかしたことのないのですから。
ここで為すべきことをするしか、出来ないのです」
「相変わらず、夢のない奴だな、カイン」
「夢なんて所詮叶わない。それならば見ない方がいい。現実が辛くなるだけです」
何もせず、ただ生きて次に繋げる。それだけを託され、希望も夢も感情さえも抑えつけて生きているカイン。
兄の陰で目立つことなく、常に兄をたてて、無能を演じ続けるアベル。
「俺は自分が本当に望むことを、夢に描くことさえ出来ないのか」