砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命


ーー今夜のオルディン公爵はいっそうステキね。
ーーホント。姉は国王陛下の妾妃、弟はアルベルト王子の側近。これで、オルディン家の力は不動のものよ。
あぁ、私、オルディン公爵とお付き合いしたいわ。
ーーでも、まだ子供じゃない?アルベルト王子と違って無愛想だし。
ーー女に慣れてなさそうなウブなところがいいじゃない。

そんなささやきが会場のあちらこちらで聞こえる。耳にするたびにアベルは笑いを堪えた。

ーー天変地異が起きようとも、君たちがカインをおとせることなどあるものか。

アベルは、サラのそばで挨拶を受けるカインの姿を見た。
華奢な女の体を男装で包んだ様子が痛々しい。なるべく体型がわからないように色々と装飾を施した今宵の衣装はアベルが用意してやったものだ。

華奢で小柄だがその中性的な顔立ちと相まって、主役のサラとともに今宵は目立っていた。
それは、国王ディアルド四世よりも。

兄の顔色をうかがう。カインのほうが目立っていても気にしている様子はない。惚れた女を手に入れられた喜びが隠しきれず、終始頬が緩んでいた。
あれなら機嫌を損ねる心配はなさそうだ。


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