砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「あぁ、やっとサラ様とお話ができそうです。オルディン公爵、失礼いたします」

サラの周囲からだいぶ人が減ったところを見計らって、ロシェ侯爵がサラに向かっていった。

ーー今度は、サラか。

サラがブリュオー王国大使と上手く立ち回れるか心配だ。彼の機嫌を損ねるようなことを言い出さないか、失態をおかさないか、気が気じゃない。いざとなれば助け舟が出せるように、カインはそっとサラに近づくことにした。

足を踏み出す前に、アベルの様子をうかがう。

菓子がたくさん並ぶテーブルのそばでアベルとミレットが笑い合っている。
どうみてもミレットはアベルに好意を抱いている。
ブリュオー王国大使の娘とでは身分が釣り合わないが、この際そこは目をつぶって恋人としてしばらくお付き合いしてもいいかもしれない。


色男でちょっと頼りない王子。
自国だけでなくブリュオー王国にも害のない人物を演じてほしい。アベルなら大丈夫だろう。

そんなことを考えながら、そっとサラのそばに向かう。
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