砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「三つも歳下で背も小さい。肌の色も真っ白で病弱を絵に描いたようなのに、しっかりしてるんだな。
なるほど、師レオポルトのお気に入りなわけだ。
ま、よろしくな。いつまでもつかわからないけど。同年代のお目付役は初めてだ」

これまでアベルにお目付役としてあてがわれた4人もの高名な学者や腕に覚えのある剣士らは3日と持たず辞めていった。

「じゃ、明日から来いよ。
カルヴィ…カルヴィン…言いにくい名だな。
…そうだなぁ、カイン。カインなら呼びやすい。お前をそう呼ぶことにする。
じゃあな、カイン。オルディン公爵によろしく」

一瞬にして身を翻し、アベルは部屋を飛び出して行く。師レオポルトが止める間もなかった。

「全く、殿下には困ったものだ。カルヴィン、やれそうかい?」

師レオポルトの問いにカルヴィンは小さく頷く。

「知らないことを知ることは好きです。
王命ですから。仰せのままに」


表情1つ変えずカルヴィンは答える。
アベルが子供らしい子供なら、カルヴィンは子供らしからぬ子供。まるで子供の姿をした大人のようだと、レオポルトは思う。
そんな二人が互いにうまく作用し、中和すればきっと最高のパートナーになれると、レオポルトは目論んでいるのだが…





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