幸せにしたいのは君だけ
「三浦さん? どうかした?」


ふいに声をかけられた。

眼前にいたのは、総務課で私の指導係を務めてくださっている船越(ふなこし)さんだった。

三十三歳のベテラン社員で、三歳になる可愛い女の子のお母さんでもある。


「どこか、わからないところでもあった?」

「ああ、いえっ、すみません……ちょっと考え事をしていて……」

「異動したてだもの。色々悩むわよね。あまり無理しないで。三浦さんは呑みこみも早いし、来てもらって本当に助かっているのよ」

「そう、ですか?」

「ええ。あなた、仕事の優先順位というか振り分けが上手だから。ほら、初日に急ぎのものはどれですか、って一番に聞いてきたでしょ? そのうえ、似た内容の書類の振り分けや仕分けまでいきなりし始めて。しかも手が空いた時に、書類の仕分け箱まで作成してくれたし」


思い出したように、船越さんはクスクス声を漏らす。


「私、今まで何人も指導してきたけれど、あなたみたいに効率を一番に考えて動く女性社員は初めて見たわ。それにあなたは的確に人の動きを見ているから、誰に尋ねればいいかもよくわかっているし。とても仕事がしやすいわ」

「そんな……でもありがとうございます」


先輩の嬉しい賛辞に頭を下げた。
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