嘘つきは恋人のはじまり。
「暑い…」
不意に吐き出された声に視線をあげると九条さんは着ていたTシャツを脱ぎ捨てた。ついでにズボンも。
その姿をぼんやり見るわたしはもう、声を上げることも辛いぐらいクタクタで。ただキスだけなのにこんなにも疲れるなんて思ってもいなくて。
「おいで」
「まだ続くの?」と思う思考とは正反対に満たされない身体。疼きは収まることなく、むしろもっとひどくなった。
首の下までたくし上げられたキャミソールもブラも今はベッドの下に落とされてしまった。互いにショーツ一枚。それでも。
「キスだけ」
彼は言う。そしてわたしを抱き起こすと向かい合わせに座らせた。硬く大きくなった彼に擦り合わせるように跨る。素肌と素肌で抱きしめ合って顎が外れそうになるぐらい、キスを繰り返した。
口の端から滴る唾液を勿体ないと舌で掬い、密着した局部を思い出したように揺らされ、声にならない声はいつも飲み込まれてゆく。
そのたびに身体を跳ねさせるわたしを九条さんはじっとりと見つめる。感じていた羞恥心なんてどこかに飛んで行った。今はもう、ただ、貪られているこの状況についていくことに必死だ。