嘘つきは恋人のはじまり。
“イク”という感覚を初めて知ったわたしは、そのあとも九条さんに負かされっぱなしだった。舌で舐められ、手で誘導され、あの手この手で絆され解され跡形もなく蕩けていく。
「も…っ、いいっ!」
クタクタでもう「降参!」と白旗を挙げるわたしを九条さんは意地悪く笑う。息も絶え絶えで、キスしようとしてくる彼をなんとか躱して声をあげたのにそんなこと無駄だと言わんばかりに抑え込まれた。
「やっ、もうっ」
それなのに九条さんは容赦ない。わたしがいったい何をしたんだ、と言いたくなるぐらいめちゃめちゃにされる。
九条さんこそ辛くないのだろうか。そんな疑問が浮かび上がるも、それを口にする間もなく溶かされてゆく。
「キスだけ、じゃ」
「キスしかしてない」
「してるっ」
九条さんは全部キスだという。舐めることも、撫でることも。もちろん局部を合わせることも、全部キス。
「もう、キスじゃな、」
「触れ合ってる、つまりキス」
なんというこじ付け。こんなの、全てキスになってしまう。なんてこった、と余裕が出てきたのも束の間。九条さんはベッドの宮棚の引き出しから正方形のパッケージを取り出すとササっと被せてしまった。