嘘つきは恋人のはじまり。



 「水飲む?」


ベッドに深く沈むわたしを九条さんが労ってくれる。もう一歩も動けないわたしと違い、けろりとしている彼は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、それを寝室に持ってくるとペットボトルのキャップを外し口に含み、それをわたしに与えてくれた。


…口移し、する意味…?


だけどもう頭が働かない。身体も動かない。考えたところでよく分からないことを考えるのはやめた。諦めて口移しされた水を飲み込むと変なところに入る。もちろん咽せた。


「こほっ、こほっ」


「悪い」


本当に悪いと思っているのだろうか、この男は。今のこの状態も全部この男のせいだ。


九条さんに唆されたわたしは酷く後悔した。頷いたこと。その先に進んでしまったこと。だって。


「気持ちよかった?」


肩肘を付き横たわる彼はぐったりしているわたしの髪を撫でて嬉しそうにしている。散々いたぶられ、九条さんは1度どころか2度、3度と新しいパッケージを破った。


「もう無理」だと何度も叫んだのに、立て続けに抱かれて声も出なくて、ただ襲いくる快感の波に乗せられて何度も何度も果てた。
< 143 / 145 >

この作品をシェア

pagetop