嘘つきは恋人のはじまり。



 だからもう、今は喋ることも面倒くさい。文句は百ほどあるけどニコニコと嬉しそうにしている彼を見ていると毒気が抜ける。


「ゆっくり寝ろ」


そもそもあなた、風邪ひいてましたよね?その熱はどこにいったの。辛くないの。


「俺はもう大丈夫。汗かいたから熱も引いた」


玲のおかげ、と付け足したあと、わたしが動けないことを良いことにまだしっとりした肌に抱き寄せて包み込んだ。


おでこにキスをする。瞼にも鼻にも撫でるように唇を落とした。そのキスの仕方がとても優しくて、事後にこんなふうにゆっくりと向き合ってくれることに少し驚いてもいる。


「……シャワー、浴びないの?」


「まだいい。もう少しこうしてたい」


九条さんはそう言ってわたしを抱きしめたまま。いつ解いてくれるのだろう、と思って少し待っていたけど一向に離してくれる気配がない。


ロバートは違う。
終わったらあまりゆっくりしない。

すぐにシャワーを浴びてしまう。
そして、お腹が空けば腹を満たす。隣にはいてくれるし、それを寂しいと思ったことはない。


だけど、今
九条さんがするように甘く優しく事後の時間を過ごすことが普通とするなら、彼はやっぱり淡白なんだと思う。
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