恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「そうか。いい職場みたいだな」
そんな砂川君の言葉を嬉しく思った。
それと同時に心が緩み、今まで誰にも溢してこなかった弱音が漏れた。
「でも…最初の頃は辛かったな」
今でこそ周りの人が理解してくれてサポートしてくれて何とかやっていけている状態だが、もちろん最初はそんな環境が整っている筈もなかった。
資料を渡される際に手が触れ、気をつけてはいてもどうしても上げてしまう恐怖感を露わにした小さな悲鳴。
世間的には広すぎる男性に対してのパーソナルスペースを割られた時に反射的に震えてしまう身体。
特に新入社員歓迎会など出席せざるを得ない飲みの席で男性が隣になるとそれは顕著に表れた。
このままここに座っていれば自分の言動で相手を不快にさせてしまう。だからといって席を替わるのもあからさまであり嫌な思いをさせるだろう。
そのような類の悩みをいくつも重ねながら息苦しく生活をしていた。
だがそのような私の様子を見て察してくれたのか、徐々に周りの同僚や先輩が自分を気遣ってくれるようになっていった。