恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
──沙和ちゃんって、もしかして男性恐怖症?
自分でそれを言うには、まるで、だからあまり男性社員と接することが出来ませんと言っているような甘えだと感じて言い出せなかった事を、さらりと口に出して尋ねられた。
その質問に思わず涙ぐんで頷いた。
いい職場。
砂川君の言う通り、本当に自分にとって良く恵まれた職場だと思う。
男性社員は、男性恐怖症だからといって私と完璧にコミュニケーションを断つのではなく、私が驚かない距離を保ってくれながら優しく話しかけてくれたりもする。
でも、いい職場だからというのがこれからも私がその環境に甘え続けていい理由になる筈がない。
私が男性社員にとって気持ちの良い存在である筈もない。
そう思うのに、自分の体質は改善しない。
周囲が自分に優しくしてくれればくれるほど、申し訳なさで身が裂けそうになる。
最初は辛かった、と砂川君に思わず溢したけれど、辛いのは今も変わらない。