恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
───私今、男の人と部屋に二人きり。
「……っ」
ガタンと椅子から立ち上がり、そのまま後ろに一歩、また一歩と砂川君から距離を取るように退く。
砂川君を見つめてガタガタと震え、呼吸を荒げる私に、砂川君は落ち着いた態度を変えずに、優しく語りかける。
「相澤、落ち着いて」
「………。」
「俺は相澤に触らない。
これ以上近づきもしない」
砂川君がそう言って、私を安心させるように優しく語りかけてくれる。
「大丈夫だ、怖くない」
「あ…」
(私今、何を…)
この診察室にいる砂川君を、砂川君としてではなく一人の男性として認識し、恐怖を覚えた。