恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
ガタガタと震えて荒い呼吸を繰り返して思わず椅子から腰を浮かそうとした私に、砂川君が優しく、でも力強く声をかける。
「相澤、大丈夫だから。落ち着いて、ちゃんと椅子に座って」
「はぁっ…あ…」
朦朧とする意識の中で私の中に届く唯一の音である砂川君の声にしがみつくようにして、その言葉に従いまた椅子に腰を下ろす。
「息を吐いて。そう、ゆっくりでいい」
「は…ぁ…」
「そう、上手だ。そのまま身体の力を抜いて、またゆっくり息を吐いて」
「はぁ…はぁ…」
砂川君の言葉通りにゆっくりと息を吐き続けると、私の体はやがて呼吸の仕方を思い出したかのように元のように息を出来るようになった。
やっと落ち着いた私を見て、優しく声を掛け続けてくれている間はずっと取り乱す事なく平静な様子に見えていた砂川君が、目を伏せて安堵したように胸を撫で下ろしたのが分かった。