月が綺麗ですね
折原くんはいつも優しい。こうしてよく話を聞いてくれる。だから、みんなから頼りにされているんだ。

私は涙を何度も拭う。折原くんの優しさが傷ついた心に染み込んで、傷を癒していくような気がした。

「折原くん、ありがとう」

私は泣き止み、折原くんに真っ赤な目をしたまま笑う。折原くんはずっと頭を撫でてくれていた。

「ん。やっぱり人は笑ってた方がええね」

折原くんもそう言って笑ってくれた。折原くんのおかげでまた明日も頑張れそう。

気が付けばあれだけ降っていた雨はすっかり止んでいて、みんな傘を畳んでいる。

「なあ、あれ見て」

折原くんは空を指差す。そこには、七色に輝く虹があった。とても綺麗……。

「なあ……」

折原くんが朴を赤く染め、照れたような目をしながら私に言う。

「虹が、綺麗ですね」







虹が綺麗ですね……あの虹で私とあなたの気持ちがつながっていればいいのにと思っています。
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