レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「……う~ん,どうだろうなあ?」
デニスは天を仰いだ。そんなにうまく事が運ぶものだろうか?いくらイヴァン皇帝が,娘に甘い父親だとしても。
「もう少し様子(ようす)()でいいんじゃねえかな?焦って打ち明けて,反対されるのもイヤだしさ」
「そうよね……。もう少し考えてみるわ」
二人はまだ交際を始めたばかりなのだ。もっと他に,話すのに(てき)したタイミングができるかもしれない。
「それに,わたしに求婚しに来る相手に当てつけるようなやり方って,姑息(こそく)だものね」
「…………」
デニスには,彼女が一体誰のことを言っているのかすぐに分かった。
スラバットの,カルロス王子。西の国境を接する王国の,自分と同じ色の髪・肌・瞳を持つ,現在の事実上の君主だ――。
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