レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「ほら,こうすれば胸元も目立たなくなりましたでしょう?」
「……そうね」
見る人の視線はきっと,華やかな首飾りに逸れて,胸元を注視されることはないかもしれない。
「ところで,カルロス王子はもう,この国にお着きになっているの?」
「はい。昨夜のうちに着かれたそうですわ。一晩迎賓館にお泊りになって,そちらで昼食を済まされた後,午後の謁見(えっけん)のお時間に,陛下や姫様にお目にかかるそうです」
午後の謁見は,二時からである。リディアは懐中時計で,現在の時刻を確かめた。
もうすぐ二時。リディアも昼食を済ませてから身支度を始めたので,ちょうどいい頃合(ころあ)いである。
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