レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
金色の(くつ)を履いたリディアは,「そろそろ時間ね」とデニスに告げた。頷いた彼は,わざとらしく口調を変えて言う。
「では,この先は自分が責任を持って警護致しますので。姫様,参りましょう」
「……ええ」
謁見の間,つまり玉座の間へ向かう途中,リディアはデニスに小声でツッコんでいた。
「急に態度を変えられたら,わたしの方がやりにくくて仕方ないんだけど」
「仕方ねえだろ。これが仕事なんだから」
言い返すデニスも,小声ではいつもの砕けた口調に戻る。二人の関係は既に知れ渡っているので,今更コソコソしても始まらないだろうに。
――それはさておき。
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