レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「わたしは,このデニスと恋仲なのです。将来わたしの夫となる人も,彼だけと心に決めております」
「なんだ,そのようなことか。私が気づいていないとでも思っていたのか?」
「……お父さま。ご存じだったのですか」
ありったけの勇気をふり(しぼ)って打ち明けたのに,父にあっさり「知っていた」と言われたリディアは拍子抜け。
「当然だ。何年,そなたの父親をやってきたと思っているのだ?」
「…………そうですわね」
十八年,である。デニスがリディアと親しくなってからでも十三年。それだけの間娘のことを見てきたら,気づかない方がどうかしている。
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