レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
しばしの思案の後,父がくれた許諾(きょだく)の言葉に,リディアの表情はパッと明るくなった。
「ふむ。――ただな,今すぐに婚約を発表することはできぬ。(おおやけ)の場での発表はもう少し先になるが,それでもよいか?」
「ええ,それでも構いませんわ」
リディアは(こころよ)く頷く。断ったとはいえ,縁談の相手がこの国に滞在している間は,諸外国への体裁(ていさい)もあって公にできないと彼女も承知しているからである。
何はともあれ,デニスとの仲を隠さずにいられるようになることが,リディアには嬉しかった。
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