レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「まあ大変!姫様,お水をどうぞ!」
給仕係の女性が水差しからグラスに(そそ)いでくれた水を半分くらい一気に飲んで,リディアはやっと落ち着いた。
「ちっ……,違いますっ!」
「だから,冗談だと言っておろう」
澄まし顔でのたまう父に,リディアは(うら)みがましく抗議する。
「お父さまが仰ると,冗談に聞こえませんから!似合わないことはやめて下さい!」
「そんなに似合わぬか?」
イヴァン皇帝は傷付いた顔をし,それからすぐに真剣な表情をリディアに向けて言った。
「まあ,冗談はこのくらいにしておいて,だな。――本当に,身辺(しんぺん)には気をつけよ。デニスがついていいるからといって,くれぐれも油断(ゆだん)するでないぞ。よいな?」
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