レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
不敵な笑みを浮かべ,彼女は階段を上がっていく。サルディーノは苦虫を()(つぶ)したような顔をした。
――これで,リディアのサルディーノ宰相への怒りや敗北(はいぼく)感が収まったかと思いきや。
「もう!何なのよ,あの人!?頭に来るわ!」
自室の中の執務(づくえ)に座った途端,彼女は彼女らしくない口調で怒りを吐き出した。
「リディア,どうしたんだよ?」
これには,昔から彼女のことをよく知っているデニスも,目を丸くした。
侍女であるエマも,めったに見ることのない主の取り乱しように茫然(ぼうぜん)としている。
「ひっ,姫様?何があったのですか?『あの人』とはどなたでございましょう?」
「サルディーノ宰相よ!サルディーノ・アドレ!わたしのデニスへの恋心を,『幼なじみへの情愛を勘違いしているんじゃないか』って言ったのよ,あのハゲオヤジ!あ~もう,腹立つ!」
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