レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
ここまでくると,もはや暴言である。デニスも,さすがにこれには「ハゲオヤジ……」と苦笑いするしかなかった。
リディアは自分がこんなにも腹を立てている理由を自覚している。そして,デニスに言えないでいる。
サルディーノ(あの男)に,痛いところをつかれたから。デニスへの恋心に自信がないことを見()かされて。
彼には確か,警戒(けいかい)心を抱いていたはずなのだが。恐れというか。その感情は,()を越すと"怒り"に変わるのだろうか?
「――エマ,悪いけど紅茶をお願い」
「畏まりました」
謁見までは,まだ充分に時間がある。お茶を楽しむくらいの時間的余裕はあるだろう。
「――そういや,ジョンは今日,あの王子の警護だって?」
< 197 / 268 >

この作品をシェア

pagetop