レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
彼のいない未来なんて考えられない。彼を失ってしまったら,もう永遠に立ち直ることはできないだろう。――そう思うと,リディアは改めて自分の気持ちに自信を持つことができた。
デニスへの想いは,紛れもなく,正真(しょうしん)正銘(しょうめい)の恋心だ,と。
「――ところでそれ,何を読んでるんだ?」
デニスに問われ,ページから顔を上げたリディアは答えた。
「これは,この国の歴史書よ。わたし,昔から時間が空くとね,こうして少しずつ目を通すようにしているのよ」
そして彼女はまた,読んでいたページに視線を落とす。
――このレーセル帝国には,建国(けんこく)から実に四〇〇年の歴史がある。
建国して二〇〇年ほどの間は,(いくさ)によって皇帝が決められていたという。そのため,短命で王朝がコロコロ変わり,政権が安定しなかった。
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