レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
リディアは渋々,「おやすみなさい」と言って彼らの客室を出たが,(てい)よく追い出された気がして仕方がなかった。
自分の部屋に戻り,()()()代わりのチュニックワンピースに着替えてベッドに(もぐ)り込んだが……。
「――ダメだわ。眠れない……」
何度か寝返りを打った後,リディアは無理に眠ろうとするのを(あきら)めた。
(浜辺に散歩にでも行こうかしら)
潮風にでも当たれば,このモヤモヤした気分も少しは晴れるかもしれない。
手早く着替えを済ませたリディアはブーツを履き,枕元(まくらもと)に置いてあったランタンを手にして廊下に出た。……すると。
「よお,リディア。お前も眠れないのか?」
向かいの男部屋から,デニスが寝グセだらけの頭で出てきた。彼もまた,自分の提案をジョンに却下されたことで,モヤモヤしていたのだろう。酔っ払ってフテ寝しているかと思いきや,意外と繊細(せんさい)なようだ。そのわりには,()のみ着のままベッドに入っていたようで,チュニックはシワだらけだ。
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