レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「そうなのよ。だから,浜辺に散歩にでも行こうかと思って。――ねえ,ジョンは?」
「アイツなら,ベッドで爆睡(ばくすい)してる。剣の稽古の後,ここまで馬を走らせてきたんだ。よっぽど疲れてたんだろうな」
「そう」
リディアは頷く。そして,彼を誘った。
「じゃあデニス。ちょっと付き合ってくれないかしら?一緒に,潮風に当たりに行きましょう」
「ええ?なんでオレが」
「あなたはわたしの護衛官だもの。当然でしょう?」
こんな時にばかり主従関係を(たて)にされても……とデニスは困ったけれど,(いと)しい女性の頼みとあらば,彼も断るつもりはない。
「へいへい,仕方ねえなあ」と言い方こそモノグサだったが,本当はリディアと二人っきりになれるのが内心では嬉しいデニスであった。
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