レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
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「――うーん,気持ちいい!」
宿を抜け出して裏手の浜辺に出ると,リディアは岩の上にランタンを置いて思いっきり伸びをした。夜の冷たい潮風が,頬に心地いい。
「ねえ,デニスもいらっしゃいよ」
彼女はランタンの番でもするように,岩に腰かけたままのデニスを呼んだが……。
「いや,オレはいいよ。――それより,リディアと話がしたい」
「え?」
何を改まってとリディアは目を瞠ったが,待たせるのも悪いと思い,すぐにデニスの腰かける岩の隣りに座った。
彼の目は,リディアの着けている髪留めを凝視している。
「ねえ,話ってなあに?」
「午後にも同じ質問したと思うけどさ,リディアはジョンのことどう思ってるんだ?」