レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「何かと思えば,またその話?」
同じ内容の()(かえ)しに,リディアはウンザリ。けれど,デニスの顔は真剣そのものだった。彼女は視線を()らしながら答える。
「ただの幼なじみよ。本当にそれだけ」
「本当に?お前が今着けてる髪留め,ジョンにもらったヤツじゃないのか?オレ今日,この町の露店で同じようなの見かけたけど」
デニスの口調は,何だか咎めるように(するど)かった。
「これは……っ,せっかくこの町で買ってもらったんだし,この町で着けないともったいないかなあと思ったから,着けただけで」
そこまで言って,リディアはデニスの機嫌が悪い理由にピンときた。
「デニス……。あなたもしかして,ジョンに()いているの?」
「なっ……!?べっ,別に妬いてねえよっ!」
顔を真っ赤にして,デニスはムキになって否定する。どうやら図星だったらしい。
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