レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「オレはいつも,リディアの味方でいたいのに。お前が戦えなくたって,オレが全力で守る覚悟もできてたのに……」
リディアは目を瞠った。いつもおちゃらけていて,姫である自分にも平然と軽口を叩くデニスのこんな真剣な表情を,剣の特訓の時以外に見たのは初めてな気がする。
「デニス,ありがとう。あなたは本当に優しいのね」
リディアは彼に頭を下げた。戦えない者のために盾になるなんて,いくらそれが自分の仕事でも,そう易々(やすやす)と言える台詞(セリフ)ではない。
「わたしは,あなたのその優しい気持ちだけで充分ありがたいから」
これは,リディアの(いつわ)らざる本心。ましてや,好きな相手にこんなことを言われたら,女性としてこれ以上の喜びはない。
「オレはガキの頃から,ずっと心に決めてたんだよ。いつまでもリディアの側にいて,お前のことを守ってやるんだ,って。時には(たて)にもなってさ」
「まさに有言実行じゃない?今じゃこうして近衛兵として働いてくれてるんだもの」
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