夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

それに、会いたかった。
例えどんな場でも、弟の花嫁でも……。アカリさんに、会いたかった。
彼女の笑顔を、もう一度見たいと思ったんだ。


皮肉にも、倒れたあの瞬間に、僕は自分がどれ程アカリさんを想っていたのか実感した。
胸が痛くて、呼吸が出来なくて、死を感じて、怖い反面……。でも、こんな事を考えてる自分がいた。

ああ、このまま死ねたら……自由になれるのかな?
そしたら迷わず、この魂は鳥みたいに、彼女の所に飛んで行けるのかな?
それなら、悪くないな。

……って。

自分の命が終わる瞬間、僕が思い出すのはアカリさん。
最期に見たいのは、彼女の笑顔。
僕の魂を優しく永遠に眠らせてくれるのは、彼女が良いと……。気付いてしまったんだ。


……でも。
今更、そんな運命には変えられない。
だからせめて……。せめて、アカリさんにもう一度会って、その姿をこの瞳に焼き付けておきたかった。
僕が残りの人生を、挫けずに全う出来るように……。
< 134 / 338 >

この作品をシェア

pagetop