夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
それは脳の手術を受ける前の入院中。
父の書いた小説の続きを受け取って、白紙のページを見た時に思った事。
"続きは自分で描け"ってメッセージに気付いた俺は、自分だったらどんなラストシーンを創るか考えた。
……それは、……。
『夢か幻か。主人公が昔助けた、もうすでに亡くなっている筈の三毛猫が現れて……』
「ーーー……好きな女性の元に、連れてってくれるのか?」
呟くように尋ねると、三毛猫はタッとその場を駆け出して……。まさか、と呆けて動かない俺に気付くと、足を止めて振り返り「早く」と呼び掛けるように短く「みゃう」と鳴いた。
自分が思い描いたラストシーンが実現するーー。
そんな馬鹿げた事がある筈はない。
……でも。これは間違いなく現実で、俺は導かれるように三毛猫の後を追って走り出した。