夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
……ううん。
私は、"知ってる"。私に手を差し伸べてくれた"あの男性"が誰なのか……、……。
夢でも、幻でもなく、"彼"は確かに存在した。
遠い遠い記憶の中で……、……。
気付いたら、私は庭園の中心にある階段上の噴水の前に来ていた。
さっき鳴った鈴の音の正体。ずっと肌身離さず持ってお守りにしてきた、猫バロンの鈴。
足元に落ちているそれを拾い、両手で握り締めると……。
「ーーーアカリッ……!!」
その声に、私の鼓動はトクンッと高鳴る。
待ちわびた約束の刻。
永い永い時代を経て、愛おしい運命の相手が私の名前を呼んでくれた。